技術講座 細菌
野兎病菌の分離と同定
豊嶋 俊光
1
1平鹿総合病院付属農村医学研究所
pp.880-884
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202596
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野兎病(Tularemia)とは人獣伝染病の一つで,野兎病菌(Francisella tularensis)によっておきる急性熱性疾患である.自然界では野兎や,けっ歯類の間でマダニを介して流行している.ヒトには感染した野兎に接触(剥皮,料理時の素手での接触)したり,マダニに刺されたりすることにより感染する.
野兎病の流行地は東北,関東,北陸地方で,特に福島,秋田,宮城,千葉などに報告例が多い.この地域に近接する県や,北海道,京都,九州からの報告例もある.またこれらの地方への旅行や登山などによって接触することは十分考えられ,この症例を経験する機会の多少はあるが,各地で患者が出現してもなんら不思議ではないことを念頭におくべきである.本稿では分離する際の留意点,方法,同定,血清反応について述べる.
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