技術講座 生理
誘発電位検査・2
聴覚
八木 聰明
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.885-891
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202598
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聴性誘発電位(auditory evoked potential;AEP)は,音刺激によって聴覚系の経路から誘発され,頭蓋上に置いた電極を通して記録される電気現象の総称であり,多くの電位を含んでいる.AEPはその性質から,①過渡性誘発電位(transientevoked potential),②持続性誘発電位(sustainedevoked potential),および,③知覚性誘発電位(perceptual evoked response)に分類することができる.
過渡性誘発電位とは,比較的早く変化する音の刺激,例えばクリック音(カチカチいうような音),によって一過性に誘発される電位であり,この電位は音刺激から電位が発生するまでの潜時から,さらに,速反応,中間潜時反応,および緩反応に分類される.一般に,聴性誘発反応というとこの過渡性電位を指し,またその臨床検査における利用度ももっとも高い.ことに,速反応は臨床上もっとも広く用いられているので,主としてこれについて後述する.
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