検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
免疫学的染色の理論
川生 明
1
,
佐藤 秀子
2
1日本大学医学部第一病理
2日本大学医学部第一病理学教室
pp.131-136
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202435
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免疫学的染色の一般的な原理
一般に抗原抗体反応は特異性の点で優れ,感度もきわめて良いことから,臨床検査の分野でも特定の物質を検出したり,定量するのに利用されていることは周知である.その場合,対象となる物質に対してそれと反応し,結合する抗体を用意して一定の条件の下で抗原抗体反応を行うわけであるが,普通,抗原物質が可溶性の状態であるのが多いのに対し,免疫学的染色(または免疫染色)は,一般の染色の対象でもある組織切片や塗抹細胞内に不溶化された状態で存在する物質を検出するという点に特徴がある.つまり目的物を染め出すのに免疫反応を利用し,その目的物が組織や細胞内に含まれていることから,この方法を免疫染色,免疫組織・細胞化学的染色と呼ばれている.
反応の方法としてまず証明しようとする物質(抗原)を,検体である組織切片あるいは細胞塗抹標本上にかけ,一定条件下で反応させる.そうすると検体内抗原と抗体との間に特異的な結合反応が起こる.余分の抗体はその後洗浄することによって除去することができ,抗原と特異的に結合した抗体のみが残っていることになる.ところが抗体グロブリンそのものは目で見ることが出来ないので,抗体に可視物質(標識物質)を目じるしとして付けることが必要となるわけである.これが標識抗体である.免疫染色はこの標識抗体を用いるので,別名標識抗体法とも呼ばれる.
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