連載 産科免疫学十二話・14
免疫学的不妊症,免疫学的避妊法
梅咲 直彦
1
1大阪市立大学医学部産婦人科
pp.496-502
発行日 1993年6月25日
Published Date 1993/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900821
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はじめに
十数年前に開発された体外受精の技術は非常なスピードで改良され,現在では体外受精が開業診療所においても実施されるほどになりました。さらに最近では凍結卵の技術が進み,冷凍精子の技術とあいまって,ある卵子や精子から永久に子供が作れる時代になりました。さらに外国では,体外で受精させた卵を他人の子宮を借りて着床させて育てる借り腹も行なわれています。
このような生殖技術の進歩により,女性と男性とがセックスを通じて卵子と精子を受精させ,その女性が自らの子宮内で育て,児を得るという従来の仕組みをまったく覆す事態が起こっています。現在の社会の法体系はそのようなことを想定して作られていないため,社会に大きな波紋が広がっています。しかし,子供を切望している夫婦にとっては,これらの技術の開発は大きな福音です。日本産科婦人科学会では夫婦の希望と法律の間を埋めるべく倫理規定を作成し,それに対処しようと努力しています。
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