検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
コンピューターを使った検査データのチェック
中村 明
1
,
屋形 稔
1
1新潟大学付属病院検査部
pp.313-319
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202248
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個別データ管理の必要性
臨床検査の結果は,真の値に様々なプラスあるいはマイナスの誤差で修飾されたデータとして報告されている.誤差の要因は,患者から検体が採取され分析が行われ医師の手元に報告書が届くまでの各過程において発生する.このため十分な精度管理を行い,精度の維持向上の努力がなされている.
精度管理は,プール血清や市販管理血清など管理用試料と検体で同一処理し,その値をx-R管理図法,ツインプロット法,Cu-Sum法などで全体の検査値を管理する方法が一般的で,これらは多くの検査室で実施されている.この管理法は,分析上のエラーの発見や原因の究明に役立っていることは言うまでもない.しかしこのような精度管理は測定値を直接管理せず管理試料の成績から間接的に管理するだけであり,個々の検体成績については疑問がある.更に最近は多くの項目が自動分析機で測定され,検体の微量化,迅速化,それに精度の向上がなされている.しかし自動分析機でも,複数の管理試料の値が管理限界内にあるのに考えられないほどの極端な異常値が出たり,もっともらしい偽の値が打ち出されてくることがあり,機械を過信してはならない.
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