技術講座 細菌
胆汁の培養検査
安達 桂子
1
1東京都養育院付属病院研究検査部
pp.833-837
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201930
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胆道感染が臨床上疑われる場合,胆汁の細菌学的検査を行ってその原因菌を検出することが望ましい.胆汁の細菌検査は胆道系疾患の診断,治療上ゆるがせにできない検査の一つである.外科的手術時あるいは胆嚢穿刺,内視鏡的胆道造影,経皮胆管造影などの際に採取した胆汁から菌を検出した場合には原因菌と考えられるが,これらの方法はいつでも可能とは限らない.一般的には十二脂腸ゾンデ法(Meltzer-Lyon法)により十二脂腸液を採取し,そのB胆汁(原則的にはA,B,C各分画について行う)の細菌検査を行って原因菌を決めている.一方,胆嚢胆汁からの菌が真の原因菌として正しく反映しているかどうか,胆嚢壁の菌が原因菌としての役割を果たしているかについても議論がある1).また,胆道に炎症がみられない症例の胆汁から菌が検出されたり(bacteriobilia),逆に明らかに炎症のみられる症例の胆汁から菌が検出されないこともしばしばあるので,菌の存在が必ずしも感染の成立を意味するとは限らない.胆道感染の原因菌の決定は,敗血症の場合のように血液培養を行って原因菌を検出するのとは違って,種々の問題があり,この点を理解するには胆道感染の発症機序を知る必要がある.
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