知っておきたい検査機器
螢光顕微鏡
和田 計二
1
1サクラ精機(株)光学技術室
pp.920-923
発行日 1978年11月1日
Published Date 1978/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201737
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1.螢光顕微鏡とはどういう顕微鏡か?
螢光染色法や螢光抗体法といった技法を使って,螢光色素を特定の目標物に標識した,いわゆる螢光標本を観察対象とする光学顕微鏡のことである.
ところで,ここで螢光と言っても螢の光は無関係である.ここでは物理学で言う螢光現象のことを言っている.つまり,より短い波長の光線を物質が吸収してより長い波長の光線を発射するとき,この現象を螢光現象と言い,吸収されたほうのより短い波長の光のことを,励起光と名付け,発射されるより長波長のそれを螢光(発射時刻がずれるとリン光)と呼んでいるのである.身近な例をとってみよう.赤インキで書いた文字が黄色く光るのを見ることがある.赤インキの色素は青緑色の光を吸収するから,文字は青緑の補色つまり赤く見えるわけだが,同時に吸収された青緑の光は励起光線として働き,より長い波長の黄色の螢光を発射させているのである(図1).
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