特集 神経学における最近の研究
<解剖>
螢光顕微鏡による神経解剖
前田 敏博
1
1滋賀医科大学解剖学教室
pp.634-637
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904872
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あるニューロン群に含まれる特定の物質を染め出し,そのニューロンを顕微鏡下に追求することは神経解剖学の一つの夢である。これを最初に実現したのがアミンに対する組織螢光法であるともいえ,それによってこの10数年の間に中枢および末梢神経アミンニューロンのほぼ全貌が明らかとなった。これに対して間接螢光法ともいえる螢光標式で種々の活性物質,生成酵素,受容体などを特異的に染める試みは免疫組織化学の発達によって現実のものとなり,酵素抗体法と相俟って多くの新しいニューロン系を明らかにしつつある。これらの方法はさらに,神経伝達物質生産能のある内分泌細胞や,逆に内分泌物質を含む一般神経線維を見出し,パラニューロン8)やペプタイドニューロンなどの新しい概念を生み出しつつある。
これらの知見全てを紹介することは不可能であり,また最近の総説36)のなかに伝達物質に関してはよく纒められているので,今回は,この分野の発達に重要な比重をしめる研究方法の歩み,現状,展望に重きをおき,成績については簡単に述べることにする。
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