技術講座 血清
補体結合反応
竹内 直子
1
1慈恵医大病院輸血部
pp.62-63
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200404
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抗原と抗体が結合すると抗原抗体複合体を形成し,この複合体はある一定の条件のもとで補体を吸着する.この反応を補体結合反応という.補体が抗原抗体複合体に結合されたかどうか,この3つの因子の作用だけではわからないので,目に見える反応とするために,感作赤血球(溶血素と結合させた赤血球)に補体を加えると溶血するという事実を利用して,感作赤血球の溶血,不溶血の結果から間接的に答を出す反応である.
抗原+抗体+補体+感作赤血球の術式で検査を行なえば,抗原と抗体が対応している時,抗原抗体複合体に補体は結合され,加えられた感作赤血球はそのまま残って不溶血となる.抗原と抗体が対応していなければ,複合体は形成されないので補体はどこにも付かず,遊離のままあって,次に加えられた感作赤血球と結合してこれを溶血させる.補体結合反応では以上のことから,不溶血の反応結果が得られれば陽性であり,溶血であれば陰性となる.補体結合反応の反応過程とその結果をまとめると表1のようになる.すなわち補体結合反応は,遊離補体が存在するのかどうかを目で見えるようにしていると考えればよい.
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