技術講座 生理
脈波と皮膚温度検査のコツ
石山 陽事
1
1虎の門病院臨床生理検査部
pp.68-69
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200304
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心臓の収縮,拡張に伴う大動脈圧の変動が圧脈波となって末梢血管に伝達される結果,末梢血管の容稽の変動が起こる.脈波には前者の圧変動を見る圧脈波と後者の容積の変動を見る容積脈波に分けることができる.ここでは日常生理検査室で行なわれている容積脈波,特に指尖脈波を中心に説明する.
指尖脈波検査に初めて携わる技師は,脈波というものが心臓から拍出された血液があたかも布袋の中のボールが次々と押し出されるように末梢に移動して,その結果血管の容積変動を起こすのだと考えがちである.しかし弾性に富んだ透明な管を血管に見たてて中にインクを入れて実験をして見ると,管に取り付けられたポンプが水をはき出すと,それにつれて末梢の管の容積は変動するが,インクの移動は末梢にはほど遠い位置にある.このことから,脈波は心臓の収縮によって圧変化が物理的に伝達された結果生じる末梢の容積の変動であることが一般に知られている.
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