増刊号 超音波×病理 対比アトラス
6章 肝胆膵脾
14 下部胆管癌(総胆管癌)―70歳代男性
小保方 和彦
1,2
,
鈴木 由美
1
,
手島 伸一
1,2
,
山下 智
3
1同愛記念病院研究検査科
2湘南鎌倉総合病院病理診断部
3同愛記念病院外科
pp.1123-1126
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104469
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症例の概要
70歳代,男性.尿の色が濃くなったことを自覚し来院.精査にてビリルビン尿を認め,生化学的にはT-Bil 3.72mg/dL,D-Bil 2.18mg/dL,CA19-9 162.1U/mLと高値を示した.腹部超音波で胆管が拡張しているが下部胆管は途絶して腫瘍を疑うエコー像がみられた.パワードプラでは腫瘍に血流は乏しかった.胆囊は腫大しているが壁肥厚はみられない.これらの所見より下部胆管の腫瘍による閉塞性黄疸が考えられた.ERCP時に採取された胆汁と胆管擦過細胞診では,核の腫大と大小不同,核形不整が目立つ異型細胞を認めた.細胞集塊の配列は乱れ,集塊辺縁の不整像や孤在性の細胞もみられ,腺癌を疑った.膵頭十二指腸切除標本では下部胆管に3cmの長さにわたり内腔が狭窄し壁の肥厚がみられ,上流の胆管は拡張していた.組織学的には管状や乳頭状の腺を形成し浸潤する高分化腺癌であった.癌はわずかながら膵実質まで浸潤していた.
◎病理診断
高分化腺癌(乳頭状管状腺癌),平坦浸潤型,3×0.7cm,Panc2(膵への浸潤が明らかであるが胆管周囲にとどまる),ly1(リンパ管浸潤が軽微に認められる),v1(静脈浸潤が軽微に認められる),N0(リンパ節転移を認めない),下部胆管,膵頭十二指腸切除標本
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