増刊号 超音波×病理 対比アトラス
2章 乳腺
3 乳腺線維腺腫―30歳代女性
森谷 卓也
1
,
中島 一毅
2
1川崎医科大学病理学2
2川崎医科大学総合外科学
pp.934-936
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104407
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症例の概要
30歳代前半,女性.5年前,右乳房外側にしこりを自覚し来院.触診では比較的硬く可動性良好な腫瘤を認めた.乳房超音波検査では,9時方向に境界明瞭な腫瘤がみられた→図1.この腫瘤は,縦横比の低い楕円形腫瘍として描出され,内部エコーはやや低~等で,比較的均質であった.また,一部には隔壁様のスペックルもみられた.後方エコーは増強しており,内部組成の減衰が低いことが推定された.穿刺吸引細胞診では,結合性良好で二相性を伴う分岐状の乳管成分と,周囲に双極裸核成分が混在しており,線維腺腫(管内型)が最も示唆された→図2.良性の判断のもとに経過観察となったが,5年後,しこりの増大・退縮いずれもなく気になるために,希望により腫瘤摘出術が行われた.腫瘍は長径3cm・充実性→図3で,病理組織診断は線維腺腫(管内型)であった→図4,5.
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