増刊号 超音波×病理 対比アトラス
2章 乳腺
16 乳腺線維症―70歳代女性
森谷 卓也
1
,
山本 裕
2
,
中島 一毅
3
1川崎医科大学病理学2
2川崎医科大学乳腺甲状腺外科学
3川崎医科大学総合外科学
pp.971-972
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104420
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症例の概要
70歳代,女性.左乳房A領域に腫瘤を指摘されて来院.超音波検査では左乳腺11時方向に境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた→図1.後方エコーは減弱し,前方境界線は保たれており,内部に点状高エコーはみられず,カテゴリー3とされた.画像上,癌が否定できないために針生検を施行したが,萎縮乳腺が採取されるのみであった.本人の希望もあり,probe lumpectomyが施行された.肉眼的には,長径約20mm,灰白色で硬い充実性の腫瘤であった→図2.病理組織学的には,硝子様の厚い膠原線維とともに,萎縮乳腺とごく少量の脂肪組織混在が認められた→図3.上皮に異型はみられず,乳管や小葉の周囲に炎症反応は目立たなかった.以上より乳腺線維症と診断された.さらに,強拡大像では,核が腫大した間質細胞が散在しており→図4,検査データを確認したところ血糖値およびHbA1cが高く,diabetic mastopathyの可能性が示唆された.
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