臨床検査のピットフォール
小腸型ALPと血液型
松下 誠
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻
pp.760-761
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103629
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はじめに
血清アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase,ALP)検査は,肝胆道系疾患,および骨疾患のスクリーニング検査として,現在の臨床検査に完全に定着している.ALP活性の基準範囲は血液型によって異なり,BまたはO型で分泌型グループがそれ以外の血液型グループに比べ,約20%高値となることが知られている1).これは,ALPアイソザイムの一つである小腸型ALP(電気泳動法ではALP5と呼ぶ)が,血液型に依存して出現することに起因している2).
この小腸型ALPには,脂肪食後急激に上昇するノーマル分子サイズ小腸型ALP(normal molecular weight intestinal ALP,NIAP)と,脂肪食前後でその量がほとんど変動しない高分子小腸型ALP(high molecular weight intestinal ALP,HIAP)の2種のアイソフォームが存在し,これら2種のアイソフォームがともにBまたはO型で分泌型の血液型に依存して出現する3).本稿では,健常者で小腸型ALP活性が高値となることに伴う高ALP血症の事例を挙げ,これらのピットフォールの特徴,および注意すべきポイントや確認法について説明する.
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