復習のページ
血液型と小腸性ALP
松下 誠
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻
pp.390-392
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100407
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[不思議な現象]
学生時代に大学の図書館で「血清中の小腸型ALP(alkaline phosphatase,アルカリホスファターゼ)がB型またはO型の分泌型の血液型に依存して出現する」と書かれた参考書をみたことがあります.その当時は,何気なく目にした一文でしたが,実際に就職してアイソザイム検査に従事してみると「ほんとうに不思議な現象があるものだ」と実感したことが思い出されます.今では,臨床検査技師を目指している学生や生化学検査室に勤務している人にとっては,周知の事実です.ちなみに,過去の国家試験においても数回出題され,また臨床化学の教科書や一般読者向けの検査データの解説書などにも同様の説明がなされています.
ところで,血液型と小腸型ALPとの関連性について調べてみると,それは1960年代にまで遡ることになります1).それにしても,最初にこの事実を報告した人は「なぜALPと血液型との関係を調べたのだろう」,「小腸型ALPが血液型に関連すると考えた根拠はどこにあったのだろう」などとしばしば考えることがあります.過去の論文を読む限りその具体的な根拠は示されていませんが,最初の報告者の創造性や着眼点には敬意を表したいものです.
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