増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
6.酵素成分
(4)ALP,ALPiso,ACP
正路 喜代美
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.128-130
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901511
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■アルカリホスファターゼとそのアイソザイム
血清アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase;ALP)総活性測定は,フェニルリン酸基質法(phenylphosphate;PP法)が約10%,他はドライケミストリー,簡易法,自動分析法であり,4-ニトロフェニルリン酸(4NPP)を基質としている.4NPP法は,JSCCが0.35mol/lMEG(N-メチルグルカミン),pH10.4の30℃緩衝液と1mol/lEAE(2-エチルアミノエタノール),pH9.9の30℃の緩衝液を検討し,後者を勧告した.IFCCは0.35mol/lAMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール),pH10.4の30℃緩衝液を,GSCCは1mol/lDEA(ジエタノールアミン),pH9.8の25℃緩衝液を勧告し,これらの処方に準拠したという調製試薬が広く利用されていて,ほとんどの施設では37℃で測定している1).
肝・骨・胎盤・小腸,その他の臓器や腫瘍細胞から血中に逸脱してくるALPをアイソザイムと称しており,これらは上記の各反応条件下で4NPPに対するKm値や比活性が異なっており,pHのシフトでも活性は変動する.緩衝液のpHは30℃で調整されるが,これら緩衝液のpHは37℃において約pH0.2酸性化し,各ALPの活性化も異なる(表1,なおGSCCは25℃で勧告したが,1mol/lDEAのpHは30℃で調整した).
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