トピックス
脳梗塞評価としてのアクロレイン測定について
五十嵐 一衛
1
1株式会社アミンファーマ研究所
pp.662-665
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103599
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わが国における三大生活習慣病である“癌”,“心筋梗塞”,“脳梗塞”のうち,信頼性の高いバイオマーカーが存在しないのは脳梗塞のみである.そのため,筆者らは脳梗塞のバイオマーカーの開発を試みた.
ポリアミンは4価カチオンのスペルミン,3価カチオンのスペルミジン,2価カチオンのプトレスシンより成る細胞増殖必須因子であり,細胞内にはmmol/lのオーダーで比較的多量に存在する(図1a)1).しかし,スペルミンが代謝される過程で,毒性物質である過酸化水素(H2O2)とアクロレイン(CH2=CH-CHO)が1分子ずつ産生される(図1a).細胞傷害物質として活性酸素であるH2O2の毒性は広く知られているが,アクロレインの毒性についてはあまり関心が払われてこなかった.筆者らの細胞培養系の実験では,スペルミンによる毒性は,活性酸素であるH2O2ではなく,アクロレインによることが明らかとなった(図1b).さらに,アクロレインの毒性はH2O2に比べて10倍程度強いことが明らかとなった2).
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