感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[2]染色法
13)アクリジン・オレンジ染色
舘田 一博
1
,
山口 惠三
1
1長崎大学医学部附属病院検査部
pp.704-705
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205022
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■目的・原理
1977年にKronvallら1)がアクリジン・オレンジ(AO)染色法による菌の検出を報告して以来,この染色法の細菌検査における有用性が検討されてきた.1980年にはMcCarthyら2)が,血液培養において液体培地による一夜増菌培養後のAO染色法とブラインドサブカルチャーの菌検出率を比較検討し,ブラインドサブカルチャーに匹敵する結果を得たと報告している.その後,本染色法は敗血症患者血液からの迅速な菌検出を目的に多くの検討が加えられた.
本染色法の原理は蛍光色素であるAOの核酸(DNA)に対する親和性を利用したものであり,原核生物である細菌DNAとAOの複合体を蛍光顕微鏡によって観察するものである.当然,白血球,上皮細胞などの核も染色されるわけであるが,その染色性の違い,形態によって容易に細菌,真菌などとは鑑別がなされる.そしてAO染色の施された塗抹標本はその後直ちにグラム染色による重染色が可能なことから,菌の存在の有無だけでなくグラム染色性を確認できるという利点を有している.図7にAOの化学構造を示す.
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