講座
注射に伴うアクシデント
小島 碩夫
1
1東大物療内科
pp.41-45
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910165
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薬物の適用に最も多く選ばれる方法は内服である。しかし内服では少量の薬物を以て急速に作用させることは難しい。又消化器内で変化する薬物は内服によつては吸収されて作用を現わすことが出来ず,又消化器疾患の場合や,或は患者の意識が明瞭でない等の為に薬物を内服させることが出来ない場合がある。こうした場合には他の方法,即ち注射(皮下,筋肉内,静脈内等)の方法を用いる。注射による薬物の適用では内服の場合に比して,薬物の吸収は迅速且つ確実であるので,現在では注射は薬物治療に広く用いられ,又欠くべからざる方法である。併し体内への薬物の導入が,注射器を用いて直接且つ迅速に行われる為に,充分なる注意の下に行われなければ,種々の事故の原因となるのは当然である。
注射によつて起る不快な出来事はその指示を誤つた時にも起るが,併し重要なものは用量並に適用方法の過誤と,器具取扱上の誤りである。
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