Laboratory Practice 〈微生物〉
東日本大震災と呼吸器感染症
高橋 洋
1
1宮城厚生協会坂総合病院呼吸器科・感染症科
pp.641-645
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103592
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はじめに
大地震や津波の後には,呼吸器感染症などさまざまな感染症が流行する危険性があることが指摘されている.2004年のスマトラ沖地震後には肺炎の明らかな流行は認められなかったが,一方では多剤耐性菌やグラム陰性菌による肺炎例が比較的多く発生したことが報告されている1,2).また阪神淡路大震災後には残存施設に肺炎による入院症例が集中したこと,肺炎症例の増加のピークは震災後2週間目であったことなどが報告されているが3,4),肺炎の正確な発症状況や起炎菌の動向などは必ずしも明らかになっていない.
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