- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
新しい知見
核酸抽出法には非常に多くの方法が存在するが,いずれの方法も細胞溶解,核酸の分離,核酸の精製,核酸の溶解・溶出の四つの工程から成っている.核酸抽出法は,核酸の分離工程の違いより液相分離法と吸着分離法の二つに大きく分類できる.液相分離法は操作が複雑であるため臨床検査では使用されなくなってきている.しかし,DNA抽出におけるフェノール/クロロホルム法は,サザンブロット法など比較的に長いDNA鎖を必要とする解析法で重要であり,RNA抽出ではAGPC(acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform)法を基本原理とするキットが,DNAの混入なく200bp以下の短いRNAを含めて抽出できることから,今なお日常的に使用されている.吸着分離法ではシリカを用いる方法が多く使用され,操作法が簡便で自動化もできることから,現在,臨床検査において主流となってきている.シリカ法にはシリカをコーティングする担体としてメンブレンを用いた用手法と磁性粒子を用いた自動核酸抽出法とがある.血液中のPCR(polymerase chain reaction)阻害物質を抑えることができ,サンプルの保存を必要としなければ,必ずしも核酸を抽出する必要がない.この点から考案されたのがAmpdirect®試薬(島津製作所)である.この試薬は,血液からの直接PCR増幅や病原体遺伝子検査〔抗酸菌,HBV(hepatitis B virus),HPV(human papillomavirus)など〕の核酸抽出時間の短縮に用いられている.また,この試薬を用いて抽出操作を省略し,増幅と検出を同時に行うreal-time PCR法と組み合わせて装置を小型にした全自動遺伝子解析装置も発売されている.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.