Laboratory Practice 〈生化学〉
3次元電気泳動法の臨床応用
中野 恵一
1
,
森山 隆則
2
1北海道大学大学院保健科学院
2北海道大学大学院保健科学研究院
pp.318-320
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103120
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
3次元電気泳動(three dimensional gel electrophoresis,3DE)法は,アガロース電気泳動,等電点電気泳動(isoelectric focusing,IEF)およびsodium dodecyl sulfate-polyaclylamide gel electrophoresis(SDS-PAGE)法を組み合わせたものである.3-DE法の特徴は,M蛋白解析に広く用いられてきた2-DE(IEF/SDS-PAGE)法における残余正常免疫グロブリンや他クローン産生M蛋白などの共存蛋白質による影響を回避し,単一クローン産生のM蛋白にのみ焦点を当て解析することが可能であることである.しかしながら,3-DE法を用いたM蛋白解析に関する報告が散見される一方,その方法は定まっていない.従来,アガロース電気泳動法にて分離されたM蛋白は,市販のゲルフィルムから変性・還元溶液を用いて抽出されてきたが,Vuら1)はアガロースゲルからM蛋白の抽出法を改良し,溶液を用いることなく遠心分離により抽出した.しかしながら,方法に改良が成されているものの,その改良に対する評価は全く実施されていない.そこで筆者らは,現在までに,3-DE法の至適条件を検討し,確立した方法を応用してM蛋白多様性解析を実施してきた.
本稿では,筆者らの確立したmodified 3-DE法について総括し,筆者らが実施したM蛋白多様性解析および臨床応用への展望について解説する.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.