わだい
レクチン親和電気泳動法の臨床応用
武田 和久
1
1香川大学保健管理センター
pp.1348
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913152
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親和媒体としてのレクチンを相対的固定化相として用いることによって,レクチンと反応性を有する糖蛋白などを親和性の差に従って電気泳動で分離する方法が,レクチン親和電気泳動法(lectin affinity electrophoresis)であり,レクチンのリガンドである糖を固定化相として用い,レクチンを分離するレクチンの親和電気泳動(aflinity electrophoresis of lectins)1,2)とは逆の関係にある.レクチンを含有するアガロースゲルを相対的固定化相として用い,主に糖蛋白を分離するレクチン親和電気泳動はBφg-Hansenら3)によって確立されたもので,蛋白質をその機能の差に基づいて分離することができる電気泳動法として画期的なものである.
レクチンは,通常の電気泳動に用いるアガロース内ではほとんど泳動されないので,単にアガロースに混入してゲルを作るのみで,均一な相対的固定化相が得られる.分離する糖蛋白は固定化相としてのレクチンと十分に異なる電気的移動度を有することが必要で,通常は陽極側に移動するα領域の糖蛋白が対象となる.分離の原理として,レクチンと親和性を有する糖蛋白の複合体が,それぞれ単独の場合の電気的移動度の平均速度で泳動されると考えたほうが理論上4)は都合がよいが,実際には,レクチンとの相互作用によって糖蛋白の泳動速度が低下することが分離の主要因のようである.
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