増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VIII 病理・細胞診
1 細胞診
加戸 伸明
1
,
伊藤 仁
1
1東海大学医学部付属病院病理検査技術科
pp.992-994
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102940
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細胞診領域における免疫反応を利用した検査法として,免疫細胞化学染色が挙げられる.本法は組織標本に対する酵素標識抗体法(免疫組織化学染色)として開発され,組織診分野において確定診断や治療法の選択に必要不可欠な検査となっている.現在では細胞診領域にも積極的に応用されるようになり,“免疫細胞化学染色”として用いられているが,この手法を用いることにより,診断上有用なさまざまな抗原が観察可能となり,主に良性と悪性の鑑別,組織型推定などに応用され,パパニコロウ(Papanicolaou)染色による形態学的診断に客観性,正確性を与えている.
しかしながら,本法は細胞診材料を用いるため,組織標本とは異なる配慮が必要となる.まず本法に用いる細胞診標本は,架橋反応を利用したホルマリン固定とは異なり,95%エタノールによる脱水凝固固定を用いていることを認識する必要がある.また,検出する抗原や用いる抗体によっては,エタノール固定状態での長期間保存により,抗原性が減弱することが知られており,注意を要する.
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