増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VIII 病理・細胞診
2 悪性リンパ腫
中條 智子
1
,
田丸 淳一
1
1埼玉医科大学総合医療センター病理部
pp.995-1002
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102941
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リンパ節はリンパ管に沿って全身に散在し,種々の経路から侵入した外来性,時には内因性異物などに対して,生体を防御するために役割分担された各種の免疫担当細胞が反応している組織である.悪性リンパ腫は免疫担当細胞の主役であるリンパ球を発生母体とする腫瘍の総称であり,このリンパ節あるいは先天性・後天性に備わったリンパ組織に発生する.腫瘍化したリンパ球は本来の細胞系列や分化成熟過程における各段階の分化抗原を保持しているので,その表現型を検索することにより腫瘍細胞の正常対応細胞を認識することが可能である.このことは腫瘍の診断および亜型分類に応用されている.
日常の病理診断,臨床診断,治療業務において,悪性リンパ腫の亜型分類はWHO分類が用いられている.2001年にその第3版1)がREAL(Revised-European-American Lymphoma)分類(1994年)2)に基づいて作成され,2008年には新たに第4版3)が紹介された.B細胞性腫瘍,T/NK細胞性腫瘍,そしてHodgkinリンパ腫に分けられ,さらに免疫不全関連リンパ増殖性疾患,組織球・樹状細胞腫瘍がリンパ系腫瘍として扱われている.B細胞性およびT/NK細胞性腫瘍は前駆型(precursor)と成熟型(mature)に分けられる.今回はB細胞性,T/NK細胞性腫瘍,Hodgkinリンパ腫の診断に際して有用と思われる免疫組織化学染色について述べる.
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