増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VI 血液
B 血栓・止血関連マーカー
1 血小板活性化マーカー
矢冨 裕
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
pp.954-955
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102930
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血小板活性化マーカーとは
血小板は,生理的止血・病的血栓形成にとどまらず,動脈硬化・血管新生・癌転移・炎症・アレルギーなど種々の生体反応にかかわる.この血小板の多機能性は,血小板が数多くの生理活性物質を貯蔵・産生し,活性化に伴ってこれを細胞外へ放出することと関連している.とくに,血小板は,顆粒成分として,蛋白質・ペプチド性メディエーターの宝庫であるα顆粒を有しており,その活性化に伴って開口放出機序で内容物が細胞外へ放出される(図).血漿に放出されたこれらの成分は,生体において重要な(病態)生理学的役割を果たすと考えられるが,その濃度の測定は臨床検査医学的意義を有する.
つまり,血漿中における血小板特異蛋白質の濃度の上昇は,生体内において血小板放出反応が進行していることを示しており,in vivoでの血小板活性化マーカーになるわけである.この目的で測定されるのが,CXCケモカイン(メモ)として知られているβ-トロンボグロブリン(β-thromboglobulin,β-TG)と血小板第4因子(platelet factor 4,PF4)である.免疫学的手法で測定されるこれらの項目は既に保険収載されている.なお,血小板機能検査として知られている血小板放出反応は,採血後に調整した血小板浮遊液を刺激した際のin vitroの反応を観察するものであり,本検査とは区別されるものである.
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