増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VI 血液
A 血球
2 細胞表面マーカー(白血病のフェノタイピング)
池本 敏行
1
1大阪医科大学附属病院中央検査部
pp.948-953
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102929
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細胞表面マーカーとは
細胞表面マーカー(以下,表面マーカー)とは,造血器腫瘍(白血病)細胞の起源や細胞系列を同定するために測定される表面抗原のことであり,モノクローナル抗体(monoclonal antibody,mAb)やポリクローナル抗体を用いた抗原抗体反応によって検出することから,この解析は免疫学的表現型解析(immunophenotyping)とも呼ばれる.表面マーカー解析の対象となる抗原は腫瘍細胞に特異的なものでなく,正常な血球の分化過程で発現したり消失したりする抗原で,細胞表面に限らず細胞質内や核内にも存在する.したがって,造血器腫瘍の細胞系列や分化段階は正常細胞の表面マーカーとの対比から推測される.
表面マーカーは,幹細胞マーカー(CD34,CD117など),骨髄・単球系マーカー,赤芽球系マーカー(CD71,CD235aなど),血小板系マーカーおよびリンパ球系マーカーに大別される.これらのマーカーの多くはCD(cluster of differentiation)番号が付けられているが,この番号自体に意味はなく,国際的な委員会で認定された順番であり,分化抗原のみならずサイトカインレセプターなどにもCD番号が付けられている.
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