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はじめに
厚生労働省が2008年4月より40歳から74歳のすべての保険加入者に対して,内臓脂肪型肥満に着目した特定健康診査(特定健診)の実施を義務付けてから既に2年が経過している.特定健診・特定保健指導の仕組みは,40~74歳の方全員を対象として大規模な一次予防を行うという世界に例のない先駆的な取り組みとして,特に欧州先進国から注目されている.
国の目標は,平成27年度に平成20年度と比べて糖尿病などの生活習慣病有病者・予備群を25%減少させるとしており,このために,健診によって生活習慣病の予備群をピックアップし,保健指導を通して健康な状態へ改善する者を増加させるというものである.この計画を確実にするには,適切な健診結果から保健指導対象者を選別し,適切な指導を実施することが重要となる.すなわち,保健指導対象者を選別するもととなる臨床検査値が重要な意味をもつ.どこの医療機関で健診が実施されても,均一な健診結果が得られる必要があり,そのためには健診結果を提示する臨床検査室の質の確保が必要不可欠となる.そのために,厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」の中では,健診を実施する検査室の精度管理の強化を行うことが示されている.
このような背景から,財団法人日本適合性認定協会(Japan Accreditation Board for Conformity Assessment,JAB)は,ISO15189に基づく特定健診に対応する臨床検査室(特定健診の検体検査を実施する臨床検査室として特定健診対応臨床検査室と定義した)の認定を行うことを決定し,2007年10月より受付を開始した.2010年3月現在で21の特定健診対応臨床検査室が認定されている(表1).
本稿では,ISO15189に基づく特定健診対応臨床検査室の認定プログラムの概要について解説する.
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