技術講座 病理
耳下腺腫瘍の細胞診
小山 芳徳
1
,
長尾 俊孝
2
,
山崎 一人
1
,
石田 康生
1
1帝京大学ちば総合医療センター病理部
2東京医科大学人体病理学講座
pp.99-105
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102737
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新しい知見
細胞診の報告は,従来よりパパニコロウ分類やクラス分類が用いられてきた.しかし,これらの分類には問題点が多く,近年,乳腺,甲状腺,肺,唾液腺などの穿刺吸引細胞診においては,新しい報告様式が提案され,それが広く採用されつつある1).耳下腺腫瘍の穿刺吸引細胞診における新報告様式の骨子は大まかに,①標本作製,②検体の評価,③診断のカテゴリー,④報告,⑤精度管理,の5項目からなる.それらの要点を述べると,①標本作製では,湿潤固定によるパパニコロウ染色に加え,乾燥固定標本でのギムザ染色の併用が推奨されている.②検体の評価としては,標本の適正・不適正を明記し,それが不適正の場合,診断を行うべきではなく,不適正とした理由,解決方法を記載する.検体の評価は,診断者の経験にも影響されるが,⑤精度管理項目において,不適正検体の頻度を10%以下に設定することで,安易な不適正検体の抑止効果が期待される.③診断のカテゴリーとしては,良性,良・悪性鑑別困難,悪性の疑い,悪性の四つに分類することが示され,推定される組織型や鑑別診断を付記することとしている.これらの主旨は,細胞診断を簡潔で理解しやすく,臨床に役立つ報告とすることにある.
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