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耳下腺腫瘍の診断と治療
安田 範夫
1
,
村上 泰
2
1京都第一赤十字病院耳鼻咽喉科
2京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.9-18
発行日 1995年1月20日
Published Date 1995/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901068
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はじめに
耳下腺部の腫瘤に対するアプローチは,まずそれが耳下腺由来のものかどうかの判断から始まる。そして耳下腺由来のものであった場合,それが腫瘍性病変かどうかの鑑別を行う。最終的に耳下腺由来の腫瘍性病変と判明した場合,その腫瘍の良性・悪性の鑑別,深葉・浅葉の部位診断が必要になってくる。これらの鑑別がいつもこの順に行われるわけではないが,診断にあたっては頭の中でまずこの整理はつけておかなければならない。
一方,耳下腺腫瘍の治療はその良悪にかかわらず摘出治療が原則である。しかし術前にlowgrade malignancyを含めた良悪の鑑別,顔面神経と腫瘍との関係,深部・副咽頭間隙を含めた腫瘍の進展範囲のチェックなどを十分に行っておくことは切除範囲の決定や術後の合併症の予防にとって大切である。
耳下腺腫瘍の診断と治療に関する成書は数多くあり代表的な腫瘍の特徴やその手術法は確立されたものとなっている。しかしその一方でMRIや超音波検査をはじめとする画像診断機器の進歩とその技術の向上は従前の耳下腺腫瘍の診断手順に変化をもたらし,また長年用いられてきたWHOの腫瘍分類基準が3年前に大きく改訂された。本稿では耳下腺腫瘍と判断されるケースにどのようにアプローチして診断を進め治療を行うのがよいか,その実際と今日的な問題点をまとめてみた。
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