技術講座 生化学
―ホルモンの測定シリーズ・11 副腎系:4―尿中ホモバニリン酸,バニリルマンデル酸,5-ヒドロキシインドール酢酸
西條 清史
1
1金沢大学大学院医薬保健研究域医学系環境生体分子応答学
pp.93-98
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102736
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新しい知見
内分泌腺腫瘍のなかでも,尿中ホモバニリン酸(3-methoxy-4-hydroxyphenylacetic acid;homovanyllic acid,HVA)・バニリルマンデル酸(4-hydroxy-3-methoxy-mandelic acid;vanillyl manderic acid,VMA)は特に褐色細胞腫・神経芽細胞腫の,5-ヒドロキシインドール酢酸(5-hydroxyindole-acetic acid,5HIAA)はカロチノイドの鑑別・予後判定に大きな役割を担ってきた.特に神経芽細胞腫は小児に好発する腹部悪性腫瘍で80%以上に尿中VMAの排泄増加が認められることから,わが国では1984年から6か月乳児にマススクリーニングを行ってきたが,スクリーニングが予後の改善に結びつかないことから2003年に中止された.しかしながら,個々の症例における測定の意義はあり,特にカテコラミン(catecholamine,CA)・セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン〔serotonin/5-hydroxytriptamine(5HT)〕そのものや,他の代謝物測定との併用が有効である.1980年前後の高速液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography,HPLC)による測定が一般化した後も,今日に至るまで測定法の改善が続けられている所以である.また,近年の分子生物学的方法による疾患概念の見直しで値の評価は複雑化してきている.
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