オピニオン
輸血検査に関する人材育成事業の推進―輸血検査の「標準化」で安全性を担保する
星 順隆
1,2,3
1東京慈恵会医科大学附属病院輸血部
2東京慈恵会医科大学附属病院診療部
3日本輸血細胞治療学会検査技師教育推進委員会
pp.1398
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102312
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わが国の輸血医療は,血液センターから供給される血液については世界トップレベルの安全性が保たれている一方で,適正に管理されていない施設でも輸血が実施され,危険な事態が発生しているのが現状である.血液法の施行によって,より安全で適正な輸血医療の確立が医療関係者の責務として明確化された.そして,輸血の専門家の団体として法人格を取得したことを機に,日本輸血・細胞治療学会(以下,本学会)は,わが国の輸血医療の安全性を保証するための人材育成を行うことを法人の第1の目標に掲げた.
本学会の人材育成事業は大きく分けて,①表彰事業(村上記念賞,学会奨励賞),②派遣事業(海外学会派遣,国内留学助成),③研究奨励事業(研究費助成制度の設立),④技術研修事業,の四つがある.技術研修事業に関しては,既に認定輸血検査技師制度が存在し,また,厚生労働省の強い要望で日本臨床衛生検査技師学会(以下,日臨技)を中心に,3年間の時限で輸血研修会が実施されてきた.しかし,筆者が委員長を務める検査技師教育推進委員会が最初に目指すのは,そうした専門性の向上ではなく,「標準的な検査技術」をもった臨床検査技師の幅広い育成である.
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