疾患と検査値の推移
亜急性甲状腺炎
髙野 徹
1
1大阪大学大学院医学系研究科臨床検査診断学
pp.1420-1424
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102317
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疾患の概念と病態
1 . 概念と定義
甲状腺に起こる亜急性の炎症によって甲状腺組織内の濾胞構造が破壊され,そこから血中に大量の甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(triiodothyronine,T3),サイロキシン(thyroxine,T4)が漏れ出し,甲状腺中毒症状を呈する代表的な非化膿性炎症性疾患である.炎症の経過とともに甲状腺内に多核巨細胞を含む炎症性の肉芽腫が形成される.30~50代の女性に多く,男女比は1:10である.甲状腺中毒症患者の4~5%を占めると考えられているが,完治に長期間を要するものの無治療でも寛解することと,急性上気道感染症と非常に似た症状で発症するため,自覚症状が軽い場合は“風邪”と誤診されていることが多いと考えられる.したがって,実際はもっと高頻度である可能性がある.
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