増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査
G 磁気共鳴画像検査
3. 脳のfunctional MRIの基礎と臨床
涌澤 圭介
1,2
,
杉浦 元亮
1
,
土屋 滋
2
,
川島 隆太
1
1東北大学加齢医学研究所脳機能開発研究分野
2東北大学病院小児病態学講座
pp.1141-1147
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102226
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fMRIの原理
機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging,fMRI)を単純に述べるとすると,なんらかの課題や刺激提示を行ったときの脳の神経活動部位を血流変化の信号から捉える方法であるといえる.脳の機能的(functional)な評価をするMRIともいえる.
原理についてもう少し細かく説明する.なんらかの課題や刺激提示を行った際,脳のある部位で神経活動が起こる.その部位では神経細胞や星状細胞などで作られたネットワークで酸素と糖が消費され,デオキシヘモグロビンが若干増加する.デオキシヘモグロビンは常磁性体であり,磁場の不均一を引き起こし,磁的信号を低下させる.少し遅れて動脈側からオキシヘモロビン(反磁性体)がそこに流入するが,酸素の需要必要量以上の血流量が供給される.結果,その部位の近傍の静脈側では血管内容積が増え,デオキシヘモグロビンは希釈され,相対的に減少し,磁的信号が増強する.
このような局所血流容積増加とデオキシヘモグロビン濃度変化による信号(blood oxygenation level dependent,BOLD信号)を捉えるのがfMRIである.BOLD信号を鋭敏に捉えるため,通常のMRIとは違い,fMRIではEPI(echo planar imaging)という連続高速撮像法が用いられている.さらに詳しい原理については成書1,2)を参照されたい.
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