Laboratory Practice 〈微生物〉
CLSI法による淋菌の感受性検査
幸福 知己
1
1兵庫県立尼崎病院検査・放射線部
pp.734-737
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102152
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はクラミジアに次いで性感染症(sexually transmitted diseases,STD)の原因として多い菌である.近年,淋菌の薬剤耐性化が問題となっており,わが国においてはペニシリン,テトラサイクリン(tetracycline,TC),キノロン薬耐性に加えて,経口セフェム薬耐性菌が増加している.
日本性感染症学会の「性感染症診断・治療ガイドライン2006」1)では淋菌性尿道炎および淋菌性子宮頸管炎に対しては注射薬であるセフトリアキソン(ceftriaxone,CTRX),セフォジジム(cefodizime,CDZM),スペクチノマイシン(spectinomycin,SPCM)が推奨されている.これらの薬剤に対しては,現在のところ耐性菌は認められない.したがって,これらの薬剤が治療薬として使用される場合は薬剤感受性検査を実施する必要はないと思われる.しかし,実際の診療においては経口薬が使用されるケースが多く,検査室では正確な薬剤感受性検査の報告が必要である.
そこで,本稿では淋菌の薬剤耐性化の現状およびCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute,米国臨床検査標準協会)法による感受性検査について解説する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.