トピックス
酸化LDL
大川 龍之介
1
,
矢冨 裕
1
1東京大学医学部付属病院検査部
pp.499-501
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101729
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■酸化LDLと動脈硬化
心疾患,脳血管疾患といったいわゆる動脈硬化性疾患は,わが国の三大死因のうちの二つを占め,メタボリックシンドロームという概念の浸透とともに重要な社会問題となっている.その動脈硬化性疾患の発症と進展にかかわる最も重要な原因の一つとして,1979年にGoldsteinらによって提唱され,今日まで盛んに研究が行われてきているものが,oxidized low density lipoprotein(酸化LDL)である1).
生体内では,ミトコンドリアでのエネルギー代謝や好中球・マクロファージによる免疫反応の過程で,スーパーオキシド,一重項酸素,ヒドロキシラジカル,過酸化水素,一酸化窒素などの活性酸素やフリーラジカルが絶えず産生されている.これに対し,スーパーオキシドジスムターゼ,カタラーゼ,グルタチオンペルオキシダーゼ,グルタチオン,各種ビタミンなどが,これら活性酸素を無毒化し生体内の過剰な酸化を防いでいる.このレドックス制御機能が破綻すると,酸化ストレスとして脂質,蛋白質,核酸などの生体内分子と反応しさまざまな影響を与えると考えられている2).
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