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はじめに
低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL)は粒子の大きさにより脂質組成が異なり,小型の粒子は比重が重くsmall dense LDL(sdLDL),大型の粒子は比重が軽くlarge buoyant LDL(lbLDL)と呼ばれている1).sdLDLは酸化LDLや糖化LDLと関連が強く,動脈壁内に沈着しやすく,lbLDLに比し,動脈硬化惹起性が高いと考えられている.sdLDLはトリグリセリド(triglyceride;TG)の豊富なリポ蛋白の蓄積した状態で増加し,食後高脂血症と強く関連する1).高比重リポ蛋白(high density lipoprotein;HDL)以外のリポ蛋白は構造蛋白が各粒子に1分子存在するアポリポ蛋白B(アポB)であり,アポB値はこれらリポ蛋白数に比例する.レムナントリポ蛋白が著増するⅢ型高脂血症以外では,一般にアポB粒子の90%がLDL,10%が超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein;VLDL)で,中比重リポ蛋白(intermediate density lipoprotein;IDL)などのレムナント粒子は1%以下である2).アポBリポ蛋白のコレステロールの総和がnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)で,疫学調査からLDL-Cと同等以上のリスクマーカーであることが報告されている3).これはVLDL代謝物のVLDLレムナントがコレステロールリッチの動脈硬化惹起性リポ蛋白の一つであることに起因する.スタチンは強力なLDLコレステロール(LDL-C)低下薬であるが,スタチン投与中の残存リスクはLDL-Cのみでは管理が困難である.本稿では,脂質低下療法の残存リスクにおけるLDLの質,特にsdLDLの意義を中心に解説する.
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