生体のメカニズム 脂質代謝・8
LDLと動脈硬化—一酸化LDL説を中心として
金沢 武道
1
,
小野寺 庚午
1
1弘前大学医学部第二内科
pp.741-745
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901652
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酸化LDLの背景
動脈硬化の成因に関しては単にコレステロールの高値が関与していると考えられていた時期から,種々の病態が詳細に研究され,多因子的に理解されるようになった.
動脈の部位によってはアテロームの形成が異なることから血管の形状と血流との関係が重要であるという考え,動脈硬化病巣のfoam cell化したマクロファージの周囲にはTリンパ球が集まっていることからTリンパ球の作用が重要であるとする免疫説,コレステロールを主として運搬する低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein;LDL)のレセプターあるいはスカベンジャーレセプター異常による高コレステロール血症説や高比重リポ蛋白(high-density lipoprotein;HDL)から他のリポ蛋白へのコレステロールエステル(CE)を転送するCE転送蛋白(cholesterol ester transfer protein;CETP)の産生低下によるとする逆転送系異常説,さらには種々のサイトカインの異常代謝に基づく二次的構成細胞増殖説など動脈硬化の成因に関しては急速な進歩がみられる.
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