増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
2.生化学検査
9 酸化LDL
益成 利幸
1
1協和メデックス株式会社研究開発部
pp.1150-1151
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101072
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はじめに
粥状動脈硬化巣のマクロファージは,スカベンジャー受容体から酸化LDLを取り込んで泡沫化すること,血管内皮細胞や血管平滑筋細胞を活性化し炎症性サイトカインや接着分子の発現を誘導することなどが報告されていることから,酸化LDLは動脈硬化性疾患の発症から成熟までの様々な過程で,低比重リポ蛋白質(low density lipoprotein,LDL)と異なった機序により動脈硬化を促進すると考えられている.このような酸化LDLの生理活性が研究される一方で,血中酸化LDLと動脈硬化との関連が予測され,血中酸化LDL測定法開発が進められてきた.しかし,酸化LDLはLDLを構成する種々の成分が酸化変性された多種多様な成分の複合体であり,均一な物質とは考えにくい.酸化LDL中の酸化変性成分を特異的に認識するモノクローナル抗体により免疫学的に酸化LDLを測定することは可能だが,用いる抗体の認識部位により測定される酸化LDL量の臨床的意義は異なると考えられる.
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