増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
30.前立腺疾患
伊藤 一人
1
,
山中 英壽
1
1群馬大学大学院医学系研究科泌尿器病態学
pp.1121-1128
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101584
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はじめに
前立腺疾患は,主要診断群の腎・尿路系疾患および男性生殖器系疾患に含まれ,前立腺肥大症,前立腺悪性疾患,男性生殖器炎症性疾患に分類されている1).それらの前立腺疾患について系統的な診断法を確立することは,医療の質の保持・コストの削減の両立のために非常に重要である.前立腺疾患の場合,各疾患を疑ういくつかの主訴が共通していることから,前立腺疾患内での鑑別診断のための検査,また前立腺以外の尿路系疾患を鑑別するための検査がまず必要になる.
今回,確定診断に至るまで,最低限必要な検査について,各疾患別にまとめを行う.また鑑別診断中の検査所見によっては,他の前立腺・その他の尿路系の主要診断群の合併・移行を早く的確に行う必要がある.今回,他の疾患の合併ないし他の疾患群への移行を考慮すべき検査所見と,精査すべき疾患の関係について,いくつかの典型例を示す.また,各疾患の確定診断後の治療前,治療中,経過観察時に必要な検査項目・検査頻度についてまとめを行う.
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