増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
31.卵巣癌およびその他の子宮付属器の悪性新生物
坂元 秀樹
1
1日本大学医学部産婦人科
pp.1129-1132
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101585
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はじめに
卵巣癌の化学療法中のカルテで,毎日CBC(complete blood count)が施行されているのをみたことがある.しかし包括医療の環境下では,このような過剰な検査は許されない.換言すれば網羅的に「念のためにあれもやる,これもやっておく」という訳にはゆかない時代が到来した.もちろん診断的検査は異なった種類の検査の組み合わせを増せば増すほど精度は上がる.しかし最終的には組織診断に結果を委ねるわけで,包括医療の環境下では正確な状況把握による,当を得た最小限度の検査の実施により治療計画の最適化を図らなければならない.
本稿で取り上げる疾患は原発性の卵巣悪性腫瘍,卵管癌,腹膜癌であるが頻度的には卵巣癌が最も重要であるうえ,臨床的な取り扱いや進行期分類も同様であるので,以下卵巣癌を中心に考える.
卵巣癌の検査を治療経過の時間軸に沿って考えると,①診断に必要な検査,②進行状態の把握に必要な検査,③術前検査,④術中検査,⑤補助療法に関連する検査,⑥フォローアップ検査,⑦再発の診断にかかわる検査と分けられる(表1).
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