増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
29.慢性腎不全
高橋 利和
1
,
土井 俊夫
1
1徳島大学医学部病態情報医学講座病態情報診断学分野
pp.1118-1120
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101583
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はじめに
慢性腎不全とは慢性に進行する腎機能不全であり,非可逆性に進行する.しかし腎不全が進行しても自覚症状がはっきりしない場合もあり,患者への腎不全の病態の説明が必須である.また緊急対処が必要な場合もあり,患者の理解が必要である.
慢性腎不全になる病態や重症度はその原疾患に左右される.その原因疾患として慢性腎炎,糖尿病性腎症,多発性囊胞腎,腎硬化症などがあり,近年,糖尿病性腎症による腎不全が急速に増加している.また慢性腎不全になる患者の高齢化も特徴的である.これらの腎障害の進行は原疾患とは関連なく二次性の進行悪化因子による.それは高血圧症,糸球体高血圧症,糸球体肥大症,腎内リン酸カルシウム沈着,プロスタグランディン合成亢進,高脂血症,代謝性アシドーシス,蛋白尿などである.
腎臓はいろいろな機能を営んでおり(表1),腎不全はその腎機能が低下・廃絶した状態である.腎不全には急性腎不全と慢性腎不全がある.急性腎不全は腎不全に至る経過が急速で,原則的には可逆性であり,慢性腎不全は経過が緩徐で不可逆性である.
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