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大学病院などの特定機能病院に入院する急性疾患患者に対する診療報酬包括支払い制度が本年度から導入された.従来,施行した検査,行った治療,投与した薬剤,使用した医療材料などに対して個々に支払いが行われる出来高払い制度が採用されていた.しかし,新しい制度では,DPC(Diagnosis Procedure Combination)という1,860の診断群分類から入院中に最も医療資源を投入した診断および処置名を選択することによって,医療費支払額が決定される.支払額は診断群相対係数と機関別調整係数により補正され,また,輸血,手術,1,000点以上の処置は別に請求できるが,基本的にはDPCに従って1日当たりの報酬額が決まり,これに在院日数をかけることによって,入院中の総報酬額が算出される(注).慶應義塾大学病院でも2003年7月から包括支払い制度を導入したが,DPCで選択した分類以外に治療が必要な合併症がある症例や高額の医療材料を必要とする症例で,出来高払いよりも支払額が減少した.このため,入院の適応,検査方針,治療方法の選択などの点で早急な対応が必要と考えられている.循環器領域では特に,高齢者の心不全や血管内エコーを行った経皮的冠動脈インターベンションなどで,最大30%を超える減額となった.以下,診療報酬包括支払い制度のもとでの不整脈の診療について考察する.
注)在院日数が長くなると,1日当たりの診療報酬は減額される.
不整脈を有する患者に行われる診断と治療のプロセスは,不整脈の種類によって大きく異なる.不整脈患者は動悸,欠滞,失神,めまいなどの症状で外来を初診するか,健康診断で施行された心電図で不整脈を指摘されて紹介されることが多い.いずれであっても,外来でまず十分な問診を行って緊急入院の必要性を評価する.緊急入院させる必要がないと判断される場合,外来で自然発作中の心電図を標準十二誘導心電図検査やホルター長時間心電図(ambulatory Holter ECG monitoring)検査などで検出するように試みる.発作中の心電図記録が不整脈診断の決め手となるが,不整脈が非持続性で,発作の頻度が低い場合には発作中の心電図を記録することが困難である.
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