技術講座 生化学
CDTの測定法
糸賀 栄
1
,
野村 文夫
2
1千葉大学医学部附属病院検査部
2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.781-786
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101507
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新しい知見
1979年Stiblerらによって大酒家の血清中に等電点電気泳動で移動度の異なるトランスフェリンが高率に見出されCDT(carbohydrate-deficient transferrin,糖鎖欠損トランスフェリン)と名付けられた.比較的簡便なイオン交換カラムを用いた測定キットが開発され,CDTは欧米では日常検査として測定されている.欧米の報告では健常人で1日60 g以上の飲酒を1週間以上続けると高率にCDTが出現し,大酒家では肝障害の有無にかかわらずCDTが増加することから,血清CDT値の測定は,大酒家を最も特異的に検出する飲酒の生化学的マーカーとされている.しかし,日本人では同じ飲酒習慣であっても血清CDT値が低い傾向にあるという報告もあり,未だ普及していない.今後,測定法の自動化,人種差の生じる原因が解明されCDT値の測定が日本においても普及することが望まれる.
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