絵で見る免疫学 基礎編 37
リンパ球の表面マーカー(その4)―抑制T細胞(CD25+CD4+T細胞)
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1ダイナボット㈱器機診断薬事業部営業学術
2栄光病院
pp.40-41
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101298
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- 文献概要
免疫学の主たるテーマは自己と非自己の識別システムの解明にある.すなわち,外から侵入する非自己の抗原に対して免疫応答をいかに惹起し生体から排除するか,また正常な個体において自己抗原に対する免疫応答をいかに阻止し,自己免疫疾患やアレルギーの発症を阻止するかである.したがって,生体は免疫応答を惹起するシステムと,これを阻止するシステムがバランスを保ち恒常性を維持しているといえる.これらシステムの解明は,自己免疫疾患やアレルギーの阻止のみならず,癌細胞に対する免疫反応の惹起や,臓器移植における拒否反応を抑制することにつながる(図1).
TH1とTH2 のバランス
CD4+ T 細胞は TH1 と TH2 に分けられる.TH1 はIL(interleukin)-2やIFN(interferon)-γなどを産生し,細胞性免疫系を活性化し,細胞内の病原体を殺すための反応や遅延型過敏反応やマクロファージを活性化し,さらに,臓器移植における拒絶反応や自己免疫疾患の病態形成に関与している.TH2はLI-4,5,6,10,13などを産生し,体液性免疫系を活性化し,B細胞の反応を亢進させる一方,IgE産生,好中球,マスト細胞の活性化などアレルギー反応を増強させ,さらにマクロファージの不活性化などを通じて遅延型過敏反応を抑制する.したがって,TH1とTH2は2つの重要な免疫系を支配している.
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