病気のはなし
Vibrio vulnificus感染症
佐藤 泰彦
1
,
森口 美琴
1
1労働福祉事業団熊本労災病院検査科
pp.774-779
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101505
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新しい知見
壊死性筋膜炎(NF:necrotizing fasciitis)を起こす感染原因菌の1つであるVibrio vulnificusはVibrionaceae科のVibrio属に含まれるグラム陰性桿菌で海水や魚介類から検出される.わが国におけるVibrio vulnificus感染症は,立山らの調査1)によると,1978年に河野らが初めて報告して以来現在まで100症例を越え,熊本県下の報告例も1981年に竹下らが報告して以来15例とまれな疾患ではなくなってきた.本感染症は急激な転帰を生じ,死亡率も高いため,救急,集中治療部門で注目されている感染症である.しかし一般的には認識が低く,日本救急医療学会のアンケート調査ではVibrio vulnificus感染症を認識できた臨床家は10数%に留まっている.本感染症の治療には早期の診断が必須であり,本菌の迅速な分離,同定が最も重要である.
Vibrio vulnificusによる感染が2001年の6~10月にかけて熊本県内で9症例発生し,死亡者が4名に達した.同時期に多発した事例はめずらしく,われわれはその内4症例を経験した.
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