今月の表紙 臨床細菌検査
Vibrio cholerae
猪狩 淳
1
1順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.378-379
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902427
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コレラ菌は種Vibrio choleraeのうちO1抗原を持つものに限られている.O1血清型以外(O2~O138)は非O1型コレラ菌(non-O1グループ),いわゆるNAGビブリオと一括され,コレラ菌とは明確に区別して扱われる.ただし,非O1型コレラ菌群も,O抗原の違いだけで,形態,生理・生化学的性状の点ではコレラ菌(V. cholerae O1)とまったく異なるところがない(図1, 2)1).
ともにグラム陰性,通性嫌気性,芽胞を持たない桿菌で,菌体は通常コンマ状に彎曲している(ビブリオ・コンマ:V. commaと呼ばれたこともある).単極性の鞭毛を持ち,活発に運動する(図3, 4).発育至適温度は37℃前後,発育至適pHは7.6~9.0で,アルカリ性側でよく発育する.普通寒天培地など一般の培地で発育する.選択培地には,TCBC寒天培地,ビブリオ寒天培地などが用いられる.
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