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肝臓超音波像
永江 学
1
1聖マリアンナ医科大学病院超音波センター
pp.285
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101364
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【解説】 図1は60歳男性の肝臓超音波像である.患者はC型肝炎から肝硬変へと進展した症例で定期的に超音波検査を行っていた.肝臓内(右葉前上区域)に大きさは約3cmで辺縁低エコー帯を示す腫瘤が認められる.腫瘍内部は比較的均一でありモザイクパターンは示してはいない.また,後方エコーの増強や外側陰影も認められない.図2は同一症例のパワードプラ像およびドプラ波形である.腫瘍内に拍動性を示す血流が認められ肝細胞癌と診断された.わが国では原発性肝癌のうち約96%が肝細胞癌であり,そのうち約93%が肝炎ウイルスに成因していると言われている.そのために,ハイリスク群では定期的な超音波検査が極めて有効である.1.5cm以下の小さな肝細胞癌では,再生結節,腺腫様過形成,血管腫などとの鑑別が問題となる.
図3は82歳女性の肝臓超音波像である.食欲不振にて来院し,内視鏡検査で胃癌が発見され転移の有無について検査が依頼された.肝臓内(右葉後上区域)に周囲肝臓エコーより輝度の高い腫瘍が認められる.腫瘍内部は不整で複数の腫瘍結節が集合して塊状を呈する所見(cluster sign)が認められる.胃癌からの肝転移像である.
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