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腹部超音波像(悪性腎臓・副腎腫瘍)
永江 学
1
1聖マリアンナ医科大学附属病院超音波センター
pp.512
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101437
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【解説】 図1,2は41歳男性の超音波像である.肉眼的血尿が一時認められ,その後また認められるようになり本院受診となった.右腎臓下極に内部エコー不均一で被膜外に突出するような腫瘤像が認められる.また,図2では腎静脈内に浸潤している腫瘍像が認められる.本例は充実性腫瘤性腎疾患のうちで頻度の高い腎細胞癌の超音波像である.本疾患では,有用な腫瘍マーカーが確立していないので,超音波検査は最も簡便な検査法である.超音波像の特徴は,腫瘍は腎実質に比べて高・低エコーの混合像として見られ,腎被膜外に突出するように発育することが多い.また,嚢胞壁や多房性腎嚢胞に合併することがあるので,壁内の血流を観察することも大切である.
図3は72歳男性の超音波像である.糖尿病で内科受診中,貧血が認められ上腹部超音波検査を施行したときに認められた右腎臓の超音波像である.中心部エコーの解離が認められ,内部に腎実質と等エコーの充実性腫瘍像が認められる.腎盂癌の超音波像である.本疾患の超音波像の特徴は,中心部エコーの解離を認め,その内部に腎実質エコーと同等または低エコーの腫瘤像が認められ,周囲との境界は比較的明瞭なことが多い.鑑別すべき疾患として,凝血塊,腎癌,ベルタン柱(Bertin's column)が挙げられる.
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