今月の表紙
膵臓超音波像
永江 学
1
1聖マリアンナ医科大学病院超音波センター
pp.85
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101318
- 有料閲覧
- 文献概要
【解説】 図1は62歳女性の膵臓超音波像である.食欲不振で上腹部超音波検査を施行したところ,膵臓頭部に囊胞性病変を認めた.その後ほかの画像診断などを行い膵囊胞であることが確認された.膵囊胞の超音波像はほかの囊胞像と同様に内部無エコー,辺縁明瞭,後方エコーの増強である.本症例では後方エコーの増強は明瞭ではなかった.囊胞性病変を認めたときには腫瘍性かどうかが問題となるが,超音波像のみから鑑別することは困難な場合が多い.また,仮性動脈瘤も念頭に置いてできればカラードプラ法を併用すると鑑別診断は容易である.
図2は73歳男性の膵臓超音波像である.悪心,嘔吐および心窩部痛を認め受診した.血液・尿検査でアミラーゼの上昇を認め急性膵炎の疑いで超音波検査を施行した.膵臓全体は不明瞭な像を呈し,周囲に低エコー領域(fluid collection)を認め炎症による滲出液貯留が観察された.一般的に超音波では急性膵炎の診断として直接所見の膵腫大,膵実質低エコーまたは不均一に点在する点状エコーと間接所見の膵周囲の低エコー域がある.本疾患では超音波検査がfirst choiceとなるが,病期によって超音波像が異なる.また,消化管ガスの影響で膵自体が描出不能で超音波所見が得られないものが約20%あるとの報告もある.本例はムンプスウイルス感染による急性膵炎の症例である.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.